『田丸の解説』 第一回



新コーナー『呼び出されたのは、たまたまです。』の撮影終了後。
田丸大輔は、その日のことを振り返りながら、
解説文を書きました。

読んでみていただければすぐにわかりますが、
えらい長いです。

動画を見ずに、いきなり読んでいただいても大丈夫ですが、
動画を見ていただいた後に、読んだ方が、
より意味がわかるかと思います。

内容は、これまたかなりドギツイですが、
これこそが田丸の文章なのです。
そのため、修正は細かい部分だけにして、
ほぼノーカットで掲載しています。

それでは、どうぞ。


<田丸の解説>

次の公演は2月だからね、だいぶ間が空くから何かしようかってことで、劇団員の何か得意分野を聞いてみようってことで動画を使ってさ、インタビューでもしようかってことになってね。

じゃ、まずは実験的にやってみないとわかんないから、とりあえず塚本でいいだろってことになってね。塚本は劇団のなかでは、何でも屋、パシリだからね、実験するにはちょうどいいでしょ。じゃ、塚本の得意分野は何だ?と思って、ブログ見てたら、どうやらキュウリとかナスとか、ベランダで作ってるらしいの。プチ農家。家庭菜園。だから、家にお邪魔して、キュウリとかナスとかトマトとかの作り方を聞くの。ためしに塚本にさ、「よく卵の殻とか鉢んとこに置いとくでしょ、あれ何でだろう?」って、塚本に聞いたら、「ヒナがかえったんじゃないかな」とか言ってるし、いい加減だけどね。

でもそれについて聞いたらおもしろそうだなと思ったわけ。ま、実際は、ただ家にお邪魔したいだけなんだけどね。よくテレビでやってるでしょ、なんとか探訪とか言って、インタビュー後に、家庭でとれたきゅうりやナス食べながら、食卓を囲んでさ。それで、エンディングはオレが風呂に入って背中流してる絵を撮って終りっていうね。面白そうじゃない?

そうしたら、塚本、鬼のような形相で「家に来るのは勘弁してくださいよ!」って拒否られちゃって、パシリなのに拒否ったからね。こいつマジか、ってぐらい本気で大声だして「絶対、家には入れません!」て言うんだよ。普段は蹴っても殴っても絶対怒らないでヘラヘラしてる奴がだよ。キレたからね。あれは何かあるね。悪い薬をタンスとかに隠してるよ。これからは塚本じゃなくて田代って呼ぶしかないな。

しょうがないから家庭菜園はなしで、他に塚本の得意分野って言ったらソフトバンクホークス。熱狂的なファンて言うし、リーグ優勝の時は1人で風呂場でビールかけをしたっていうからね。じゃ球場で語ってもらいましょうかってなって。そしたら塚本が開口一番、福岡のヤフードームまでは行くのは大変だし、金もかかるし、かといって東京ドームも料金高いし、神宮でいいんじゃないかって。妥協の連続だよ。せめてヤクルト戦、プロ野球見るのかなって思ったら高いって言って大学野球。どこまで妥協するんだよ。

ソフトバンクのファンでもなんでもねぇーじゃん。「ファンなら福岡行きましょう田丸さん」て言ってほしかったね。なのに、「大学野球は外野席700円ですから安くていいですよ」だって。よわったよ。こいつホント、ファンかって。怒るよ、本物のソフトバンクファンが聞いたら。神宮で大学野球見て、ソフトバンク語るってなんだよ、ソフトバンク関係ねーじゃん。ただ野球ってことが共通なだけ。

じゃもういいや、話の内容で勝負ってことにして、インタビューの前にすごいマニアックな細かいものがほしいからって塚本に言ってね、ちゃんと調べといてよって頼んだらさ。もうすごい元気いいの。「全部僕にまかせてください!」って、戦時中の兵隊さんみたいに、日本は僕が守ります、全て背負います、ってぐらいの気合いで、敬礼までしてさ。ま、家庭訪問がなくなったからってのもあるかもしれないけどね、薬が見つからなくて助かったって。こっちもそのやる気見たら安心しちゃって日本はお前にまかせるって気持ちになっちゃったから。

で、当日、蓋を開けたら、何も無いんだよ。聞いても聞いても何も出てこない。スカスカなんだよ。日本沈没だよ。いや、何も無いってのはね、普通のプロ野球ニュース見たらわかる内容ぐらいならあるよ。そうじゃなくて、塚本がどれだけファンかというマニアックさ、細部がほしいわけ。

例えば、1番から9番バッターのフォームや投手のフォームのまねや、技術的な解説とか塚本なりの、走る時の歩幅や、全選手の打ってからの一塁までのかかる時間、いつも秋山監督はここの床屋さんにいって、どれくらいのペースで切ってるとか。朝食の味噌汁には必ず大根をいれるとか、5年前はここにホクロがなかったのに今あるとか、知らねーよってのがほしいわけよ。ネクストバッターサークルで、いつもやってる仕草とか癖とか。こいつマジやばいわってぐらいの、そんなにソフトバンクが好きなら、ソフトバンクと結婚しろっていいたかったよ。何かグッズ持ってるって聞いたら、マグカップだけしかもってないって言うし。劇団員の瀬戸なんて巨人ファンでも何でもないのに巨人グッズは帽子からTシャツからメガホンから何でも持っていて、東京ドームにも何度も足運ぶし、なんだろうねまったく。

でもね、今回のインタビューで一番の収穫は、塚本よりオレの方がソフトバンクファンだったんだって、わかったことだよね。携帯もソフトバンクにしたし、待ち受けも孫さんだし、いつも孫さんのツイッター見て、孫さん頑張れって応援してるからね。まずは孫さんから応援しないと。あとはオフの時にキャンプ見に行かないとだめだね。オレなんて毎年行ってるから今年は優勝すると思ってたから。川崎選手と本多選手の腿まわりが太くなってから相当走ってるなって思ったし。あと、昔、オレ鷹を飼ってたし。生まれたときは鷹の目のようなスルドイ目してたから、アイオブホークスって親戚に言われてたみたい。

いや〜、しかしね当日の話しなんだけどね、前にネットで調べて1試合目が11時からになってたから、その時間に行ったら雨天でかなり変更があったみたいで、1試合目が13時からになってやんの。最寄りの駅についた途端、塚本からメールが来て、「田丸さん11時からじゃなくて、13時からですよ」ってきてね、「もう遅いよ、着いてるよ」って返したら、「僕も着いてます」だって。13時からって知ってたのはカメラマンの瀬戸だけ、前日にネットで見たら変更で13時になってたって言うんだよ。「それ、早く言えよ」って言ったら、「随分早いなとは思ったけど、きっと早めに集合して打ち合わせするんだなと思った」って。するわけねーだろ。ぎりぎりで行きゃいいんだからさ。でも13時まで待つことになるのかなと思ったら、11時30分くらいに入れてさ、練習風景が観られたのよ。で、早くパパって撮っちゃって、試合始まる前に帰りましょう、いいね〜って、もう3人ともやる気ないの。

この日は日差しが強くて、気温も26℃ぐらいあって、外野席ガラガラなんだけど、ポツリポツリと2、3人かな、黒光りしているおじさんがタンパンいっちょで日焼けしてるぐらい。こりゃ焼けるなってぐらい暑いのに、オレ、ニット帽にトレーナー、汗ダラダラ。前の日がちょっと寒かったから、この衣装でいくぞみたいな、すげー考えてさ寝る前に、そしたら暑いのなんのってインタビューどころじゃないの、頭がもうろうとしてたからね。じゃ脱げばいいじゃんてことなんだけど、そこは、決めたことは最後までやりなさいって、小学生の時に先生に言われたこと思い出してさ。がんばっちゃったよ。

ま、そのあとビール買い行って750円、瀬戸はレモンサワーで500円。生ビールが750円って、入場料より50円高いんだもん。大学野球の外野席は安いね。平日の昼から3人で乾杯して酒飲んで、ちょっと楽しいというね。これ毎日だったら完全にダメ人間になるね。

そのあと飲みながら塚本と話して、瀬戸はカメラ撮ってるからレモンサワーをイスの上に置いててさ、オレそれこぼしちゃって。うしろのスコアボード見ようと思ってふりむいたら、コップに手が当たって、まだ一口しか飲んでないのに全部なくなっちゃって。インタビュー中ヤベと思ってさ、もう話してる場合じゃないよ、心理的には。言うか言うまいか迷ったよ。ばれなければ言うつもりなかったね。でも絶対ばれるでしょ。考えたあげく2分後にカミングアウトしたよ。結局瀬戸は、500円で一口レモンサワーを飲んだだけ。悪いことしたね。オレと塚本は一滴も残さず、ビールを五臓六腑に染み渡らせたからね。

で、ようやく試合が始まるころ、もう結構動画撮ったし、ビールもなくなったし、そろそろ帰るかってなって。カメラ止めたらさ、塚本が、いきなりだよ、「ここ入る時、めちゃくちゃかわいいこ球場に入っていきましたよ。多分チアリーダーかも」っていうから。3人で「どこだよ?」って。外野席から瀬戸の望遠カメラ使って、内野席で応援してるその子探そうとしてさ、でも全然見えないの遠くて。バカだねホント。その時の塚本の目は鷹の目になってたからね。アイオブホークスになってた。あの目はもう認めるよ熱狂的なソフトバンクファンなんだな。

あ、そうそう、あと1つ、瀬戸がね、動画とは別に、カメラでバシャバシャ、選手達を外野席から撮ってたの。そしたらさ、すごいイカツイ係員が歩いて来てさ、もうなんつうの、サミュエル・L・ジャクソンを日本人にしたみたいなのがさ、眉間にしわよせて、「君たち何、撮ってるの?プライベートで撮ってるの?」って聞いてきてさ。もう見た目が怖いの。オレなんて臆病だからビール持ってた手が震えちゃって、ほとんどビールがなくなっちゃたよ。えっ、撮影禁止、怒られる?みたいな空気になってさ。「いや、すいません」て、なんかわからんけどすぐ謝って。そしたらサミュエルがね、瀬戸のことを、どこかの会社の記者でプロの撮影の人だと思ったんだって。記者の人には専用のスペースがあるからそこで撮影を、て案内しにきたわけ。結局なんでもなかったの。瀬戸を見てプロのカメラマンだと思ったんだ。でさ、帰りの電車の中で、プロのカメラマンに間違えられた話しになってさ、いや〜あんとき間違えられて嬉しかったよだって。そんなもんかね、カメラ小僧っつうのはわからんね。

いかがでしたでしょうか。
他の動画も観てみてくださいねっ!

『呼び出されたのは、たまたまです。』
メニューに戻る。

©2008 Tennen Kobo